1.ヒーローなんてしたくねぇ

14/14
前へ
/155ページ
次へ
(ミョー)にマヌケな知らせが鳴って、 おれのメットの中の無線に(ミツル)からの通信が入った。 「ふたりとも、よくやった。今後もよろしく頼んだぞ」 録音みたいに事務的な、感動のないメッセージ。 「報酬は……」と聞きかけた時、一方的にブチリと切られた。 「シープマン、ありがとう。次の現場でまた会おう……」 その後、飛鳥(アスカ)はジェットを使い、縛った窃盗団をぶら下げどこかへ飛んで帰ってしまった。 モヤモヤとした気分を抱え、ひとり港に残されたおれは、 (うーん……)と頭を悩ませた。 サイボーグ・ポリス、飛鳥(アスカ)マークⅡ。 顔はかわいい。 仕事熱心。 全身凶器。 情緒不安定。 わるいやつじゃあないんだろうが……色んな意味でアブなっかしい。 「報酬」欲しさに引き受けたけど、あいつと二人でペア組むなんて、 これ、ヤベー仕事じゃねぇか? (あ、でもダメだ。パチで負けたんだ。今月、ぜんぜん(カネ)ねーんだわ……) 考えれば考えるだけ、テンションが低くなってきそうだ。 (なんだかなぁ、なんだかなぁ。おれ、この先やってけるのか……?) 沖でカモメが鳴いている。 おれもなんだか泣きたくなった。 (クソ、クソ……損ばっかりだ。ヒーローなんて、損ばっかりだ……) なんならこの場で思い切り、大声あげて叫びたかった。 「おれは……おれは! おれはおれはなぁ!」 ——ヒーローなんてしたくねえんだっ!!!
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加