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妙にマヌケな知らせが鳴って、
おれのメットの中の無線に充からの通信が入った。
「ふたりとも、よくやった。今後もよろしく頼んだぞ」
録音みたいに事務的な、感動のないメッセージ。
「報酬は……」と聞きかけた時、一方的にブチリと切られた。
「シープマン、ありがとう。次の現場でまた会おう……」
その後、飛鳥はジェットを使い、縛った窃盗団をぶら下げどこかへ飛んで帰ってしまった。
モヤモヤとした気分を抱え、ひとり港に残されたおれは、
(うーん……)と頭を悩ませた。
サイボーグ・ポリス、飛鳥マークⅡ。
顔はかわいい。
仕事熱心。
全身凶器。
情緒不安定。
わるいやつじゃあないんだろうが……色んな意味でアブなっかしい。
「報酬」欲しさに引き受けたけど、あいつと二人でペア組むなんて、
これ、ヤベー仕事じゃねぇか?
(あ、でもダメだ。パチで負けたんだ。今月、ぜんぜん金ねーんだわ……)
考えれば考えるだけ、テンションが低くなってきそうだ。
(なんだかなぁ、なんだかなぁ。おれ、この先やってけるのか……?)
沖でカモメが鳴いている。
おれもなんだか泣きたくなった。
(クソ、クソ……損ばっかりだ。ヒーローなんて、損ばっかりだ……)
なんならこの場で思い切り、大声あげて叫びたかった。
「おれは……おれは! おれはおれはなぁ!」
——ヒーローなんてしたくねえんだっ!!!
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