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2.休日に予定なんてねぇ
北向き窓から差し込んでくる、
外の光は透明で。
——この街の、どこより早く。
朝陽はおれのアトリエに、
新しい日の始まりを告げる。
寒気を感じて時計を見ると、時刻は朝の5時だった。
(いけねぇ、もうこんな時間なのか……)
夜通しずっと「絵」を描いていて、
気づけば朝になっていたことは、
これまでだって幾度もあった。
夜更かしが好きなわけじゃない。
おれには寝てる間なんてないんだ。
(いけるかな……次のコンテスト)
描きかけの絵をじっと見つめて、自分自身に問いかけてから、
おれはぶんぶんと首を振った。
いやいや、(いけるかな?)じゃねぇよ。
次こそうまくいかなきゃ困る。
そろそろホントに限界なんだ。
おれにはもう、寿命がない。
「自分の番」をつかみ取らなきゃ、
才能のある若いやつらは、後ろにわんさか控えてるんだ……。
焦る気持ちが込み上げてきて、おれは絵筆を取り置いた。
「ああ、認められてぇなぁ……」
思わず想いが口に出た。
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