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都心を離れて湾岸エリア、コンクリートの人工島。
巨大倉庫の並ぶ区画にひとの気配はすでになく、
乗り捨てられたフォークリフトが時折ちらほら目につくだけだ。
現場に到着したおれは、さっそく飛鳥マークⅡからイヤミに近い報告を受けた。
「遅かったな、シープマン。窃盗団は逮捕した。市民は全員避難させたし、船の積荷は無事だった」
……さすがだな、サイボーグポリス。
彼女のそばには5、6人、黒い覆面姿のやつらが電磁ロープで拘束されて、恨みがましい目つきをしていた。
「……おい、まてよ。『ボス』はどこだよ?」
「指令にあった『ミュータント』か? それはわたしも気になっている」
——どこにも姿が見当たらない。
「なんだって……?」
怪人類。
それはおれたちヒーローの敵。
成人病の影響下、突如世界に現れ出した、人外異形のモンスターども。
どんな生物よりも強く、どんな兵器よりも頑丈で、
中には高い知能をもって、計画的に人間社会の破壊を企むやつもいて、
……とにかくヤベぇ連中だ。(ちなみにおれは説明がヘタだ)
「ふた手に分かれて探そうか?」
「心配無用、『おまかせあれ』だ」
声に自信をみなぎらせ、飛鳥マークⅡが自前のレーダー探知機を起動させた、
まさにつぎの瞬間だった。
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