1.ヒーローなんてしたくねぇ

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都心を離れて湾岸エリア、コンクリートの人工島。 巨大倉庫の並ぶ区画にひとの気配はすでになく、 乗り捨てられたフォークリフトが時折ちらほら目につくだけだ。 現場に到着したおれは、さっそく飛鳥マークⅡからイヤミに近い報告を受けた。 「遅かったな、シープマン。窃盗団は逮捕した。市民は全員避難させたし、船の積荷は無事だった」 ……さすがだな、サイボーグポリス。 彼女のそばには5、6人、黒い覆面姿のやつらが電磁ロープで拘束されて、恨みがましい目つきをしていた。 「……おい、まてよ。『ボス』はどこだよ?」 「指令にあった『ミュータント』か? それはわたしも気になっている」 ——どこにも姿が見当たらない。 「なんだって……?」 怪人類(ミュータント)。 それはおれたちヒーローの敵。 成人病の影響下、突如世界に現れ出した、人外異形のモンスターども。 どんな生物よりも強く、どんな兵器よりも頑丈で、 中には高い知能をもって、計画的に人間社会の破壊を企むやつもいて、 ……とにかくヤベぇ連中だ。(ちなみにおれは説明がヘタだ) 「ふた手に分かれて探そうか?」 「心配無用、『おまかせあれ』だ」 声に自信をみなぎらせ、飛鳥マークⅡが自前のレーダー探知機を起動させた、 まさにつぎの瞬間だった。
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