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にわかに水面が渦巻いて、
渦の中から飛び出た「なにか」が飛鳥の右手に絡みつき——
「あっ」という間に力まかせに肘から下を引きちぎった!
「……っ、不覚!」
「テメェ! この野郎っ!」
故障箇所から火花を上げて、のけぞる飛鳥をかばっておれは、
再び出てきたその長いやつを力いっぱいとっ捕まえた。
「オラァ! さっさと出こいやっ!」
勢いつけて引っぱれば、辺り一面、水しぶき。
海から出てきた敵の体は空中で丸い弧を描き、
ふ頭の硬いコンクリートに「ビシャリ!」と叩きつけられた。
「ギャッ!」とひと声、
(まだ許さねえ!)
「くらえ、手刀! 『シープマン・チョップ』!」
腕の一本、いただきだっ!
切り離されてビクビク動く、
太くて長くてヌルヌルしたのを地面にポイと投げ捨てて、
おれは相手に向き合った。
「きやがれ……この、『タコ野郎』!」
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