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 あれから夢のリンクはぱたりと止んだ。  面白半分、わざと手を握ってから寝たりもしたのだがいっこうに起きる気配もない。それ以上に密着する行為をした夜だってリンクはしなかった。 「夢にリンクしなくなっちゃった」  今夜もまた、黒岩にぴたりと身体を寄せて充は呟いた。 「忘れた頃にまたあるかもよ?」 「もうしない気がする」  相手のことをもっと知りたいという気持ちが、眠っている間に相手の夢へとトンネルを開けてしまったのかもしれない。言葉の足りない充が作り出した、不思議なトンネル。  少しずつではあるが言葉で気持ちを伝えられるようになった今、夢へのリンクはもう起こらないような気がした。 「それに最近、すごく熟睡しちゃうんだ。夢、見てるのかもしれないけど覚えてない」 「激しい運動してるから?」 「そう、激しい運動してるから」  布団の中で手を繋いで、クスクスと笑い合う。 「友和さんは? 夢……何か見る?」 「そうだな、最近見ないな」 「そう? 激しい運動のおかげ?」 「激しい運動のおかげ」  充を安心させるように、黒岩が優しく微笑む。 「もし……怖い夢見たら俺のこと起こしてね」 「うん」 「絶対に起こして。叩いてでも起こして」 「ははっ。わかった」 「目を覚ましてさ、現実で会おうよ」 「そうだね。現実で会おう」  優しいキスを交わして、恋人の穏やかな表情を確かめてから目を閉じる。 【end】
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