占い師編(2)

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占い師編(2)

1日目・夜 残り人数 11人 シン ヤス ヤマト リオ タカシ コウタ ユキナリ トモヤ オカ アツシ カズシゲ コテージは案外清潔感があった。 ベッドメイキングもされているし、小さな机とメモ帳も置いてある。 俺はベッドに腰掛けてため息をついた。 どうやら俺は占い師になってしまったらしい。 薬を飲んだ直後、自分の中で力が目覚めるような感覚があって、「ああ、占い師になった」という気持ちが急に湧き上がってきたのだ。 どういう成分が含まれた薬なのか、気になるところだ。 副作用があったら治療費と慰謝料をふんだくろう。 …副作用、あるといいな。 さて、誰を占おうか。 正直、手がかりは全くない。 アツシは男受けしそうな肉体だったな、とか、リオっていう名前は女でもいけるな、とか、その程度の感覚だ。 肉体だけでゲイかわかるわけないし、名前にいたっては偽名を使ってるだろうからヒントにはならない。 …まあ、テキトーでいいか。 そう決意した途端、猛烈な眠気が俺を襲った。 まだ占っていないのに、朝になってしまう。 そもそも、占いって、どう…やるんだ… …気がつくと、俺の前には10枚のカードが置かれていた。 カードにはそれぞれ名前が書いてある。 とりあえず、手前にあるカードを手に取ってみた。「コウタ」と書いてある。 なにげなく裏返すと、「ノンケ」と書いてあった。 俺の意識はまた途絶えていく…。 次に気がついたとき、俺は布団の中にいた。もう朝のようだ。 どうやら占い方法は夢占いらしい。 コウタはノンケ。もしくは、腐男子。 それだけ心に留めて、俺はコテージを後にした。
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