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詐欺に引っかかった作家志望
今日、俺は憧れの作家になった。
いや、『本を世に出しただけ』の男になったのだ。
随分前に、小説の新人賞があって投稿したのだけれど、見事に落ちてスランプだった時にスマホから着信があって出てみると「貴方の小説には才能が感じられる。埋もれるのは惜しい。出版しませんか!?」と言われた。
遂に俺の時代がやってきたかと思って名刺がはいった書類を送ってきて、それは共同出版という名の自費出版だった。
費用は150万円。普通に考えれば出せる額じゃない。
しかし、俺は親に頼み土下座をしてお金を借りた。そして支払った。
そうして世に出された自分の小説を書店で見るたびに自己陶酔をした。
しかし、売れている気配はなかった。
そうして数カ月後、契約満了になり大量の本が返ってきた。
売れなかったのだ全く。
親族が買っただけで、誰も手につけなかったのだ。
俺は詐欺にあったのだ。初めからあの出版社は売れるわけがないと思っていたのだ、だからお金だけを搾取したのだ。
こうして俺は返品の本と借金地獄になり、毎日バイトを掛け持ちをしてお金を返す日々は続いた。
俺の夢の作家は『詐欺』という名の破壊者に夢を壊されたのだ。
この世は残酷だそうして矮小だ。
俺は生涯あの出版社を忘れることはないだろう。
作家なんてクソ喰らえ!!!
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