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〈凌side〉
「………ッ!」
目が覚めてハッとした。
隣を見れば無防備に寝る嫁が俺の脇の下で小さく丸くなっていた。
もちろん、パジャマ着用(お互い)
俺は自分が着服していることを見てガックリと肩を落とした。
「……ょう、」
未玖はむにゃむにゃと何か言いながら俺のパジャマをギュッと握りしめる。その手をそっと解き、自分の手を握らせた。
とたんに、その表情がふわっと緩まる。寝ているのに微笑んでいるような顔に俺は心臓が止まりそうになるほどドキッとした。
アーー、クソ。
カワイすぎる、オレのヨメ。(香月凌心の俳句)
昨夜、ビールを飲んでまったり過ごしていくうちにとてもいい雰囲気になった。酒が入ったこともあったせいか、未玖が許してくれた。
寝室まで来てお互いその気になっていたのは覚えている。散々キスしあった。酸素が足りなくなるほど、昼間の続きを思い出すように貪った。未玖の呼吸が乱れて、その表情が暗い室内でもわかる、ほのかに色づくほどに。
その記憶はあるものの、その後のことは覚えていない。
……オレ寝落ちした?
まだ朝日もでていない時間。隣で眠る可愛い嫁の寝顔にちょっとばかり八つ当たりしたい気持ちを抑えつつ、俺は自分の不甲斐なさに頭を抱えこんだ。
END
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