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「嵐のようだったわ」
「ハハハ。ホントダナ」
たった十分ほどの滞在だったにも関わらず、病室は賑やかになった。子どもたちが口々に喋り倒し、回転寿司から八景島のことを話してくれた。
玲チャンが『そろそろ夜ご飯の準備しなきゃなあ。りっくんの好きなナポリタンしようかな』なんて言って帰る準備を始めたところ、子どもたちが玲ちゃんに飛びついた。
『たまちゃんのはんばあぐは?』
『かぼちゃさらだ!』
双子たちは怜空を優先したのが気に入らなかったんだろう。玲チャンに不満をぶつける。
『もちろんハンバーグも作るわ。みんなでハンバーグこねこねしようね。ね、りっくん』
玲チャンは『おいで』と怜空に呼びかけると、怜空は一瞬オレと未玖を見て、未玖が怜空の頭を撫でるとオレたちの考えを理解したように、伸ばされた玲チャンの手を握り返した。
「……ねぇ、なんで怜空はカピバラなの?」
そして、今。
未玖はちょっとした疑問に眉を顰めた。
「イルカとかラッコとかアザラシとか他にあるでしょう?」
未玖の疑問は最もだが、怜空が良いっつぅンなら良いンだろう。
「シャーナイ。怜空が良いっつうンだから」
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