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「明日なんだけど、玲とランチしようってなったの」
風呂上り、未玖がバスタオルで髪をガシガシと拭きながら話始めた。ソファーに座りテレビを見ていた俺は彼女を見上げる。
「それでね、怜空をお願いできないかな?2、3時間でいいの」
頭の中で瞬時に計算する。
それであれば、午前中に片付けられることをしておけばよい。それほど詰まってはないし、育休中といえばそうだし。
「ン。いいぜ。ゆっくり楽しんできナ」
オレは快くOKした。
未玖はふわっと笑い「ありがとう」と言ってくれる。
「たまには怜空抜きがいいよな」
「あ、いや。そういうことじゃ」
「いいって。梓も玲ちゃんのために週に1、2回ひとりの時間を作るようにしてるって言ってたぜ?そういうの必要なら遠慮なく言って欲しい。俺は多分気付いてやれないことの方が多いと思うカラ」
子どもは可愛い。
だけどずっと家の中で接するのは窮屈になる。
特に未玖のように、バリバリと社会に出てキャリアを積んでいた女性なら尚更だろう。
「……凌」
ありがとう、とほっと安堵した笑みで笑う彼女を俺はしっかりと抱きしめた。
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