気弱な僕と借金の話

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僕は以前借金で苦しんだ。 だから極力借金しない生活を心がけている。 でも、僕の数少ない友人がお金を貸してくれと連絡があった。 だけど不思議だ。 友人は稼ぎも多く、趣味の集まりでも「今月もまた金かしちゃったよ」とか度々言うほどなのに。 友人にお金を貸す事にした僕は事情をそれとなく聞いてみた。 どうやら残業が減って収入が減ったことが原因らしい。 だけどそれなら借金を返してもらえばともいえずに僕はお金を貸した。 でもやっぱり気になったので友人の晴耕に話をした。 「プライドだろそりゃ」 「でもそうも言っていられない気がするけど」 「それにな、世の中にはクズがいるのさ。借りた金は返さないつ~ロクでもない奴らがな。そんな話、あちこちで自慢げにしてるからつけ込まれるのさ」 酷い世の中だと思った。 だけど裏を返せば今はやりのリボを減額しますとかいう弁護士の話もそうだ。 借りたものは返すというのが普通だというのに法律を盾に踏み倒しているような気がする。 「借りる時は神様仏様だけど返すとなったら鬼畜生」 時代劇で聞いたセリフだ。 つけ込まれるのが悪いのか? つけ込む奴が悪いのか? 違う。 でもそんな事を考えても変わりはしないんだろうなと思うと溜息が出た。 お金を貸した友人には後日、晴耕にも話したと伝えておいた。 晴耕はトラブルメーカーでもあるがトラブルシューターでもある。 友人の声が少し震えていた気がして申し訳ない気がしたが、僕にも生活がある。 そして気の弱い僕なりの処世術でもあるのだ。 まぁ、晴耕から言われたというのもあるんだけれども。 そういう意味では晴耕は色々と思う所はあるけれども大切な・・・。 あ、電話、晴耕から? 「すまん金貸してくれ」 やっぱり晴耕もロクでもない奴かもしれない。
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