数字男

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 “魔女コレ”の放送後に、ツイッターにイラストを投稿してみることにした。 『アイリちゃんが、ステラを庇って闘うシーンが胸熱だった』  ピンク髪のアイリちゃんが、大きな瞳に涙を浮かべながらも、歯を食いしばってステッキを構えるイラストに、そんな感想をつけて、投稿ボタンを押す。  公式アカウントしかフォローしていないタイムラインに、自分のツイートが表示されると、妙な満足感があった。  ツイッターを閉じ、さて寝るか、と横になった途端、スマホが震えた。  慌ててロックを解除すると、ツイッターアイコンに数字がついている。急いで、アプリを開く。 『リツイート 2 いいね 5』  見守るうちに、数字はどんどん増えていく。リツイート10、いいね25、リツイート13、いいね32……。 『アイリちゃんめっちゃカワイイですね!ファンになりました。フォローさせて頂きます☆』  そんな言葉と共に、フォロワーまでもが増えた。一気に、10人。 「何キモい絵描いてんだよ」  ノートに落書きしていたイラストを見て、そう言い放ったクラスメートがいた。  あれは、中学の頃。  そいつは嫌がる俺からノートを取り上げて、にやにや笑いながら、クラス中にそれを見せて歩いた。  俺は、泣き出したいのを堪えて背中を丸めていた。固く、唇を噛み締めていた。 『リツイート 28 いいね 52』  嬉しかった。  自分が、認められた気がした。  俺のイラストを良いと思ってくれる人が、こんなにたくさんいる。  「カワイイですね」と、言ってくれる人がいる。 『ありがとうございます。凄く嬉しいです。僕もフォロバさせて頂きます!』  震える手で、俺はそう返信した。
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