家に行こう

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家に行こう

夏風邪かわからないけど、しばらく体調が悪かった。だけど、夏休みに入る前にはすっかり元気になっていた。 「冬!デート!するよ!」 俺の席にまで来て、尚巳は楽しそうに言う。クラスの人たちは俺の体調を気遣ってるのか、尚巳好きな女子たちは絡んでこなかった。 「いつ?」 「あしたー!」 「いいよ」 「場所はねー、カラオケ?ボーリング?それともーゲーセン?」 「友達と会わなくていいの? 明日から夏休みだけど」 「のんちゃん?うー、普通の日は忙しいし、たまにしか会えないもんねー」 「遊んだらいいよ」 「冬は?一緒に遊ぼー?」 「俺は、その人あんまり知らない、し…」 一度だけ会っただけ。 「お願い」 尚巳にじっと見られて、これは断れない。 「わかったよ」 てなわけで、公園で会うことに。休日にデートというのは今までなくて。いつも放課後だった。まぁ、尚巳は友達と遊んでたんだろうけど。 「わーなおみー!おー冬くんも久しぶりだね。なおみーの服かわいいー!」 のんちゃんはすごく元気である。 「やったー!」 尚巳は、くるっと回る。半袖で首元がふりふりとしたブラウスにチェックワンピースを着ていた。のんちゃんは、動きやすいTシャツにデニム。かわいい服を汚したくないが、その辺のベンチに座る。尚巳を挟んで座ることに。 「冬くんがいっつも一緒なんでしょ?」 「いや、いつもでは…」 「あのねー冬はね、熱が出てもわかんないんだよ?」 「おい」 「へー頑張り屋さんなんだ」 その言い方は、まるで兄のよう。 「そーだよ?ね、冬」 「冬くん、なおみーは熱出たことずっと覚えてると思う。すごい記憶力いいんだよ?」 「そ、そうなの?」 これは初耳。 「そんなことないよー?のんちゃんはめちゃくちゃ頭いいよ!」 そういう話をしてたわけではないが…まあいいや。 「たまたまだよー」 「冬もね、頭いいよ?学級委員長だし」 「関係ないから」 「私も委員長だよ」 「やっぱりー!のんちゃんはねーすごいんだよー!でも冬もすごいねぇ」 尚巳にさりげなく、くっつかれた。かわいいやつだ。そのまま、どうでもいい話を3人でしていた。 「さてと、今日保育園が半日だし、お迎えだから帰るね」 のんちゃんはまるで主婦のようだ。 「うん。わかったー!のんちゃんまたね」 「うん。じゃあねー」 あっさりのんちゃんは帰ってしまった。 「冬」 「なに?」 「眠たくなった」 「外で寝たら風邪引く」 「そーだね〜あーなんかご飯食べたいなー」 「忙しいな」 「今日はどこ行こーか?」
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