家に行こう

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「俺、もともとは髪の毛に色はあったんだけど、事故にあって、次の日白くなって。白髪しか生えなくなった」 「事故?けがしたの?」 「…俺じゃなくて、俺の兄が。俺たちを守ってくれて、それで…片足なくしたんだ」 「そうなの?」 ずっと言いたかった。秋に言ったら傷つく。でも、トラジにも言えない。 「…うん、どうしてにーちゃんなんだって何回も思った。俺が代わりになれたらいいのにってずっと思ってる。それでもこの状況は変わらない。今まで簡単にできてたことができなくなって、悔しそうにしてるにーちゃんを、俺は見てることしか、できない」 どうしたらいいかわからない。俺も前の俺じゃなくなってる。 「ねぇ冬。ぎゅーってしてあげる」 突然尚巳は立ち上がったと思ったら、抱きしめられた。 「なに、え」 しかし、座ってるから首を抱きしめられた形になって、尚巳の胸に顔を埋めてる。 「おばちゃんがしてくれるんだぁ。寂しいときに」 「おばちゃんってどこの誰だよ…」 「冬もお兄ちゃん大好きなんだね」 「もって…うん、まあそっか」 「尚巳のお兄ちゃんはね、頭が良くてね、それにかわいい彼女いるんだよー?」 「…」 「でね、尚巳がバカなこと言ってたら怒ってくれるの」 「尚巳、俺はお兄ちゃんと一緒になれそう」 「なーにそれ?」 尚巳は俺から離れて顔を覗き込む。 「同じじゃん俺と」 「えー?そうかな?」 「頭いいでしょ?かわいい彼女はいるでしょ?」 「えー?」 「尚巳のこと怒ってやるし?」 ほっぺを触るとぷにぷにとしていた。 顔近いとキスしたくなるのだろうか? 「ん」 「俺のことも大好き?」 「大好き?んーと」 「ご飯は大好きってすぐ言っただろ?」 「冬は大好きって言ってほしい?」 「言ってよ」 「大好き」 「…く、かわいい」 正面から言われたら恥ずかしくなる。 「ねー冬はなんでいきなりちゅーしたの?」 「なんとなく…」 「急にしたからぜーんぜんわかんなかった!冬近いなーと思ってたらぶつかったーって感じ?」
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