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「いいじゃないの。本人がやりたいと言っているのだから簡単なことでしょう――」
カタンとティーカップを置く音がした。
と同時——。
「簡単なこと?そう言うなら君がやれよ!双子ならバッチリ適合するだろう!」
ついに九条さんの中で堪えていた糸が切れたんだ。
「冗談でしょう!あなた、女の身体にメスを入れろと言うの?」
「こんな時だけ女だって?君の正体はもうみんな知ってる」
「あら、私の正体が何だというの?」
ずっと抱えていたものが今になって爆発。
「やめろって!」
薫が灰皿に煙草を押し潰すようにして火種を消す。
この時とばかり。
「和樹坊ちゃま——私も反対です」
中川が僕の足元に膝をつき手を取ると言った。
「何より征司様がここにいらしたら、そんなことをお許しになるはずないではありませんか」
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