episode262 急変

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翌日——。 目覚めた瞬間にやられたと悟った。 「2時半ってなんだよっ……!」 朝一で病院にいるはずだった。 しかし枕元の時計の針は思いもしない時間を指していて。 隣に九条敬の姿はなかった。 サイドテーブルには昨晩僕らが1杯ずつ飲み交わしたグラス。 何を飲んだ——?頭がぼんやりして思い出せないのは。 僕が間抜けな道化だからじゃないさ。 美しい嘘つきにすっかり騙されたからだ——。 僕はベッドから飛び起きる。 まだフラフラしたまま服を身に着ける。 冷たい水で顔を洗うと九条さんの部屋を飛び出して——。 大声で中川を呼びつけた。 「中川!九条さんはどこ?」 目の前に立つ老執事の固い表情を見て。 こいつもグルだとすぐ分かった——。 「病院だね?」 「和樹坊ちゃま……」 「車を出せ!今すぐ病院に向かう」 玄関で花瓶を投げ倒し僕は感情のまま怒鳴った。 何本もの白薔薇が床に散らばる。 「クソ……!」 九条敬——何を考えてる?
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