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「今日帰り、一緒に帰ろうよ。」
「はい…」
先輩のお誘いだから、断るのは申し訳ない。
そう思って私は安易に承諾してしまった。
「じゃあ僕はもう少し写真撮ってくるから。ほのかちゃんもちゃんと撮るんだよ。」
気がつけば、もう、和也の姿は見当たらなかった。
佐伯さんはきっと私の気を紛らわせてくれたのだ。
私に背を向けて歩いていく佐伯さんにカメラを構えた。
そして、精一杯叫んだ。
「佐伯さん!」
彼が振り返った瞬間私はシャッターを切った。
「なに?」
「なんでもないです。また後で!」
再び、私に背を向けて歩き出す
私は自分の撮った写真を見つめ、人差し指で画面に映る佐伯さんをなぞった。
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