おばあちゃんの風鈴

　何もしたくない。

　もう学校が嫌になった。高校生になって１ヶ月が経つが、勉強は大変だし、学校は遠いし、友達もできない。毎日が楽しくないのだ。

　私の想像していた高校生活は、こんなものではなかったはずなのに。少なくとも5月の頃には、全員とは言わずとも、クラスの子たちと軽く談笑し、勉強もそれなりにこなす、平凡な暮らしを送れていると思っていた。

　なのに、今の私と来たら何？　なぜそんな、些細な望みですら叶っていない生活を、私は今送っているの？

　頭の中の思考が、浮きも沈みもせず漂い続ける。そのうち、自分の存在価値すらも、疑うようになっていく。

　ああ、もうすぐ午後の6時…。