転生前に

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転生前に

転生できる事に喜び過ぎていたなるは、神様に正座させられ2時間にわたる説教からやっと解放され、しびれていた足を直している。 その間に、気を取り直して説明をしてくれる神様の話しに耳を傾けていた。 「ハァ……なるよ、今度から人の話は落ち着いて聞けよ?」 「はい…すいませんでした」 「分かってくれたならそれで良い……では、最初から説明するぞ?お前をここに呼んだ理由は最初に言ったように、猫が好きであるということと、もうひとつある」 なるはただじっと、無言で神様の言葉に耳を傾けている。 「これから行ってもらう所は地球とは別世界となるミーナルシアという世界なんだが、猫や他の動物等が人間と同じ生活をしている所でな 今現在、そのすべての国を支配する権限を持ち続けてきたのは猫族だけだ」 「は?な、何故なんです?」 「うむ…繁殖力が尋常ではないから、常に食糧難が絶えないのだ 故に、戦に明け暮れる日々が続いている」 「人間の世界とは違う意味で過酷な環境ですね……そこに俺が行って何をせよと?」 「猫の支配する世界を良き方向に変わるように救ってほしい 無論特別な事をする必要はない……彼らに、癒しと和みを教えて欲しいのだ」 「癒しと和みですか……俺はどちらかというと受ける側でしたから、どのように伝えれば良いか分かりません おまけに、そんな世界に何も無いまま行っても殺されるだけで終わりそうなオチしかイメージできないんですが」 「もちろん、お前なら十分に生きていける対策は三つ用意してあるから安心しろ まず一つは文字や言葉だが全ての言語が読み書きできるようにしてある 二つ目は、向こうの世界で使うお金をしばらく暮らせる分は用意しておく 単位は1ゴールドで100円と考えてくれていいぞ 三つ目はスキルだ」 「スキル⁉︎なんかゲームみたいで嬉しい‼︎どんなスキルですか?ひょっとしたらステータスやレベルとかもあるんですか?」 「お、おお……お前に渡すスキル名は[オーバーセンス]と言い、あらゆる速い動きもスローモーションのように感じて動く事ができるものだ そしてお前が言うステータスとレベルだが、心の中でステータスと唱えてみろ」 「は、はい!……(ステータス)」   [ステータス一覧]  ナル レベル1  固定スキル・オーバーセンス [任意で全ての速い動作を、スローモーションのように見る事ができる (※)派生スキル出現の可能性有り]   ※下の表記3箇所は一般レベル  力………………100  素早さ………100  器用…………100  スタミナ…500  体力…………500  オリジナルスキル・神々の智恵 [天使や神からの助言を、聞くことができるようになる]  称号・猫を愛するもの [あらゆる行動において猫達が好感を持つようになる] 「……ポカーン(゜Д゜)」 「まあこんな感じだな?スタミナと体力が500になっているのは俺から余分につけておいた 何せ常に動かねばならんからな?おまけに猫のメス達はタフだから求愛行動がとても盛んだ! 気をしっかり持って良いメスと子供を作れよ? 教会で祈れば俺と会話ができるから、いざとなったら智恵を貸そう! ……言い忘れていたが、冒険者ギルドもあるから稼ぎながら自分のできることを見つけていくと良い」 「何から何までありがとうございます!こんな経験ができる日が来るなんて、小説漫画やゲームの話だけだと思ってました」 「……うむ、恐らく過酷な出来事も多々あると思うが恨み言でいっぱいになる前にできる限り聞きにこい ひとまず、向こうの世界の神官にはお前が行くことを告げておこう」 そう言って神様は彼の目の前に水色の大きな円の形をしたゲートを出現させる なるはどんな展開に出くわすのか不安はあるが、小説漫画のように転生先で生きていける事を密かに楽しみにしながら、ゲートをくぐって行った。 猫の支配する世界の厳しさを、このときのなるはまだ考えていなかった。
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