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それから私は何度も何度も小料理屋へ通った。
いつ行っても美味しい料理に惚れ、やがてはその料理を作る女将に惚れた。
「僕と結婚してくれませんか」
定番になった一番奥の席というのも、口説きやすかった要因かもしれない。
「私で良ければ」
女将は最高の笑顔で応えてくれた。
それからの日々は本当に幸せなものだった。
仕事を終えて家に帰れば、いつも美味しい料理が出てきて、いつも笑顔の妻が待っていてくれる。
最高のスパイスはこの笑顔なんじゃないかと思う。
「幸せだ」
心から本当にそう思っていた。
美味しい料理に、小さな毒が盛り続けられている事を知るまでは……
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