プロローグ

1/5
前へ
/5ページ
次へ

プロローグ

――夜八時。ここは都内のとあるFMラジオ局のスタジオ。 『では,今日最後の曲。Offisial(オフィシャル)髭男(ひげだん)dism(ディズム)の〈Pritennder(プリテンダー)〉でお別れしましょう。また明日も聴いて下さいね~。お相手は,みんなのマッキーでした!』 「――はい,オッケー!お疲れさん!」 曲が流れ始めると,本番を終えてブースから出てきた〈マッキー〉こと女子高生DJの江藤(えとう)真希(まき)にプロデューサーの片瀬(かたせ)(まなぶ)がねぎらいの言葉をかけた。 「お疲れ様でーす!」 「マッキー,今日の放送もよかったよ。また明日もよろしくね」 「はいっ!」 真希は都内の私立(しりつ)大翔(だいしょう)学園高校の三年生。 ロングの黒髪にパッチリした目,鼻はちょっと団子っ(ぱな)で,"美少女"というよりは"可愛(かわい)い"という感じの顔立ち。身長は一五五(ひゃくごじゅうご)(ろく)センチとやや小柄。 そして彼女の何よりの魅力(みりょく)は,彼女の声。ちょっとアニメ声っぽい可愛らしい声が,リスナーである主に中高生達からの支持(しじ)を集め,今や"カリスマ"とまで言われている。 そんなカリスマ女子高生DJ〈マッキー〉の誕生は,今から一年ほど前に(さかのぼ)る――。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加