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「藤沢クン,おはよ。……あのね,ちょっと訊きたいことあるんだけど」
「んー?」
真希が秀の席まで行って話しかけると,机に突っ伏していた秀はまだ眠気の残るけだるそうな顔で真希を見上げた。
「コレさあ,SNSにアップしたのあんたなの?なんかめっちゃ拡散しまくってんだけど」
そこへ絵里もやって来て,秀に詰め寄った。そしてあの音声を再生した。
「……ああ,コレな。うん,確かにオレだよ」
音声を聞いた秀は,悪びれた様子もなくあっさり認めた。
「ねえ,ヤバいんじゃないの?学校内の放送内容,勝手にネットに流して」
真希は怒りというよりも心配な気持ちを込めて訊ねた。校則に引っかかるか引っかからないかよりも(それはそれで問題だけれど),人としてやっていいか悪いかの問題。
「大丈夫だろ。それより,これがどっかのラジオ局の人の耳に入ったら,お前有名になるかもしんないぞ」
「まさかあ!そんなことあるワケ……」
真希は本気にせず笑い飛ばした。……が,まさかこれが現実になるなんて,その時の真希は思ってもみなかったのだ。
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