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出雲が見た女性は、一人はピンク色の長髪に前髪が重めの小顔の可愛らしい印象を受ける、出雲より若干身長が低い少女であった。もう一人の女性は黒髪の長髪であり、その艶のある黒髪が戦いによって振り乱れていた。そして、頭部には何もつけずに白色の鎧だけを着ているのが見えた。
「こんな場所に魔物が出るなんて! お嬢様逃げてください!」
白い甲冑を着た女性が叫ぶと、お嬢様と言われた少女は私も戦うと返す。出雲はその様子を草木の影から覗き見ていた。
「一体何が起こっているんだ……あの怪物と二人の女の人は何をするんだ……」
出雲が恐る恐る見ていると、少女と女性騎士が狼の怪物と戦闘を開始した。狼の怪物はその姿を変化させ、全身の毛を尖らせて体毛を三十センチ程の長さに変えた。
「この魔物! 気を付けてください!」
そう言い、女性騎士が左手に何かを発動させて持っている剣に付加させた。その剣を構えてその場で振ると、剣から赤い衝撃波が出て狼の魔物に飛んでいく。
「これで倒れて!」
そう願うも、狼の魔物は軽々とその衝撃波を右に避けて回避をした。そして、そのまま女性騎士に飛び掛かる。
「この!」
剣で横払いをするも、尻尾で防がれてしまう。その尻尾は異常に硬く、剣を弾く程であった。女性騎士の攻撃を防いだ魔物は、後ろにいた少女に狙いを定めて攻撃をしようと睨んでいる。
「お嬢様!」
そう叫んだ女性騎士はすぐさま魔物の方向を向くも、地面にある草に足を滑らせて転んでしまう。その様子を見ていた出雲は、あの少女を守るためにこの世界に来たんだなと察し、すぐさま少女の前に飛び出した。
「あの少女を守るためにこの世界に来たんだな。 だって、動かないはずなのに身体が凄く軽いんだから……」
出雲は先ほどとは違って、想像以上に身体が軽く感じて自分自身の身体ではないように感じていた。
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