あおいのメラメラ

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4ヶ月後ーーーー。 フラッシュの嵐の中、29人の女の子たちがきれいに整列して立っている。 その最前列の端っこで、練習したアイドルスマイルを顔に張り付かせていた。 そう。あおいは合格したのです! エントリーした日本人のほぼ全員が最終審査に進んだのはびっくりしたけど、その中で唯一合格した。 あとは現地の子たちばっかりだった。 「この中に唯一の日本人メンバーがいるので、  ぜひ意気込みを聞いてみたいと思います」 あ!あおいの事だ。 さっきから司会をしている女性は、現地語と日本語を交互に繰り出し、 この場をスムーズに進行していた。 「えー……成田葵さん?」 そう呼びかけながら、歩み寄って来た司会者にマイクを向けられる。 「成田さん、意気込みとか一言お願いします」 意気込み。 全てのカメラがこちらを見ている。 「あ、あの」 緊張するー。 「あの、まさか私が、ずっと憧れてたグループの一員になれるとは思ってませんでした。しかも、外国で……。  う運命だと思って、みんなと一緒にがんばりまシュ」 噛んだ! 恥ずかしー。 「はーい、ありがとうございます」 司会者の女性が去り際に微笑んで、恥ずかしさは照れに変わった。 「みなさま、TKR66第一期生の船出に盛大な拍手をお願いします!」 会場中に拍手が鳴り響いた。 やっぱりアイドルになるのは運命だったんだ。 推しメンのマリリよりも最強のアイドルになれる気がした。
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