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1ヶ月もすると、腕立て伏せは20回はできるようになっていた。
会話は難しいけど、わかる単語は増えた。
でも……ダンスレッスンがやばい。
こんなにダンスが難しいなんて思わなかった。
華麗に踊る自分しか想像してなかった。
いま一人づつ課題のダンスを踊っていて、次はあおいの番だ。
「次、あおい」
ダンスのミキ先生は日本人だ。
日本人だけど、現地語でしか話してくれない。
だからほとんど話した事はない。
音楽が流れ、心の中でカウントする。
あ、踊れてる気がする。
踊り終わると、みんなは拍手をしながらも表情は呆れている。
「日本語で言うけど、家でちょっとは練習してる?」
「してます……」
「しててそれじゃあ、ちょっとまずいんじゃない?」
「……」
「ねえ、やめたら?」
ひどい……。
涙が溢れてきた。
「泣くなら出てってくれる?邪魔だから」
レッスン場は静まりかえっていた。
その場にいたくない。飛び出して行きたかった。
「もっと、もっと家で練習します……」
「そうね。出来ないなら、みんなよりももっと練習しなくちゃ」
「はい……」
「あおいは、やればできる子だと思ってるから」
最後の言葉は現地語で、なにを言ってるのかわからなかった。
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