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そして、イベント当日を迎えた。
憧れたステージ衣装はとても可愛く、きれいにヘアメイクされて、
みんなはお互いに写真を撮り合っていた。
祭り会場の特設ステージで、前評判からか観客席は超満員だった。
円陣を組み、アンジーの号令で一斉に気合を入れる。
overtureが流れる中、ステージに飛び出して行く。
ステージは憧れていたあちら側の世界。
そこから見える景色はとても素晴らしかった。
みんな笑顔で、こっちも笑顔で、やっぱりキラキラの世界だった。
「わたしの名前は、アオイです。好きな食べ物はクーフーです。
どうぞよろしくお願いしまーす」
片言の現地語と、現地の名物料理の名前をあげると、会場中がおおいに盛り上がった。
なぜ自分が選ばれたのかわかった気がした。
「楽しかった?」
「うん。めっちゃ楽しかったあ」
「よかったわね」
助手席のママが振り返り微笑む。
「聞いたことある曲だったなあ」
「だって日本の曲をこっちの言葉で歌うんだもん」
渋滞でなかなか進まないので、パパは別の道を探そうとカーナビを操作していた。
一曲目に披露した歌の日本語バージョンをママが歌いだしたので、一緒に歌った。
「衣装もすっごく似合ってたわよ。写真何枚も撮っちゃった」
「あ、それ全部あおいに送って!」
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