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その樹が生えていたのは、山の深い深い場所の森の中でした。
その頃の樹はまだそんなに大きくなく、周りの木々に圧倒されるような存在でした。枝は細く、幹も頼りなく、その上幹の真ん中にはポッカリと小さなうろが空いているのでした。
樹はいつでも他の木にあこがれていました。もっときれいな花を咲かせたい、もっと美味しい実をならせたい、もっともっと大きくて丈夫な木になりたい。
その為には、一体どうすればいいんだろう。樹は毎日そんなことを考えていました。
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