12人が本棚に入れています
本棚に追加
冬を越して次の春が来ると、樹はもっと大きくなっていました。花も、三つに増えていました。
「やっぱり、お客様をおもてなししたからだな」
樹は嬉しくなりました。これからもどんどんおもてなししなきゃ。樹が大きくなったのと同時に、うろも少し大きくなっていました。これなら、リスや小鳥よりも大きな動物ももてなせそうです。
それからも、樹の元には様々なお客様が来ました。リスやモモンガ、ウサギやタヌキ、キツネと言った小さな動物達が樹の元を訪れました。
樹はみんなをもてなす為に、色々な工夫をしました。春にはきれいな花をたくさん咲かせ、夏には日差しをさえぎる葉を繁らせ、秋には美味しい実をならせ、冬には寒さをしのぐ為にうろ穴をなるべく深くしました。
それだけではなく、葉っぱからはさわやかないい匂いがするようにしたり、喉を潤せる甘い樹液を出したりもしました。そして、葉ずれの音は、常に子守唄を唄うように優しくさやさやと鳴っているのでした。
そんな日々を送っているうちに、樹はどんどん大きくなって行きました。背も高く、幹も太く、うろも大きくなり、樹はいつの間にか森の王様のようになっていました。
最初のコメントを投稿しよう!