CEO

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「んで。ストレートにそう言ってみたんだよ。 新が惚れ込んで この肉使いたがってるんだけど 店の形態からなかなか難しいって。 千葉さんってホントいい人なのな。 それなら切り落としを回しましょうかって 言ってくれた。 通常小売に回すらしいんだけど 薄切り肉で使うなら 切り落としでも 充分代用にはなるって。 千葉さんの店としたら 小売で出しても 他のよくある 切り落としよりは単価が高いから売れ残りがちだし まとめて買って貰えた方がいいんだってよ。」 どうする? 涼は答えをわかっているクセに敢えて俺に 判断を促した。 「・・それはCEOが許可出来る原価だったの?」 「まあ。少し超えるけど その分 サフランライス 止めて 白米ならどうかなと思って。 サフランって日本人には馴染みが無いし 色味だけで味を分かる人も少ないだろ。 それに お前 これちょっと醤油垂らしてるよな。 日本人の舌に合うように。 だったら ランチの客層見ても白米の方がいいなって 思った。それなら原価率ギリで許可します。 さて。どうする?」 そこまで見抜いて計算したんだ。 もう。お手上げ。 涼は俺の想像を遥かに超える。 急な展開にワクワクして 返事をしようと 口を開きかけると 涼は何かを思い出し 話を続けた。 「ああ。あとさ。俺 休日出勤の無い休み ランチだけでも 店手伝うわ。 時給設定して貯金箱の缶詰入れて。人入れたら どれくらい経費かかるか知りたいし その分 数出せるだろうから その差を見たい。 いつか新がもっと広い店をやりたくなった時 流石に一人じゃ無理だろ。 人件費も頭に入れて 利益計算は事前に しときたいよなぁ。やっぱ。 だから これ出す時や 千葉さんの肉使う時は 俺が店手伝えるタイミングにしろよ。 それなら少なくとも50は出せるだろ? 仕込みも手伝うし。料理は出来ないけど 昔 バイトしてたから 包丁は問題ないから。」 え? 「・・広い店?」 「うん。今だってこうやって我慢を強いられてんだし やりたいだろ。もっと規模広げて ある程度 コストもかけられる料理が出せる店。 元々 バーやりたかった訳じゃ無いって 前に言ってたじゃん。俺も貯金あるし もし 仕事辞めたら退職金もある。 まあ。資金あるなら そこまで待つ必要も 無いけどな。ただ そうなると俺は出来ないから 人を雇う必要があんだろって思って。」 生ビールのお代わりをありがと。と受け取り ポケットから小銭を出してカランと貯金箱に入れる。 この経営企画会議が始まってから 涼は有無を言わさず 店の酒を飲む時は 貯金箱に金を入れるようになった。
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