帝王

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「その人。今 どうしてるか知ってんの。」 一連の流れから 何となく十条はその人に 気持ちが残っているような気がした。 だから俺に聞いてきたんじゃねえのかな。 結婚もせず 同性とパートナーとして 一生一緒に居る決断をした企業勤めの俺。 幸せなのか。 ならばどうやって・・って話ですよね。 意外と一途なんじゃん。 なんて。 十条は ああ。と頷く。 「結婚もせずに毎日仕事ばかりしている。 どう見ても彼女を作る気もないし 結婚する気も無いように見える。 だったら もう世間体も何も無いだろう。 もう一度やり直そうと再三提案しているが アイツは一切 聞く耳を持たない。 なんでああも頑固なのか。と思ってな。 だから お前から話して貰おうかと。」 へ。 「・・話す?」 「ああ。」 「誰が。」 「お前が。」 「何を。」 だから。と十条は顔をしかめた。 「同性同士でも幸せに生きていく方法が あるって話をだ。」 はぁ? 「ちょ・・お前・何言ってんの? 何で俺が見ず知らずの人にそんな事・・。」 その時 ガラッと引き戸が開き 服部が個室に 入ってきた。 「あれ? ごめん。遅かった?」 既に始めている様子を前に不安になったのか そう言いながら 俺の横に座る。 「ほら。話せ。」 十条はそう言って ロックグラスをグイッと開けた。 ・・話せ。 何を。 って。 「ええっ??」 大声を上げ 固まる俺と十条を交互に見て 服部は訝しげに眉間に皺を寄せると 「何。どうしたの?」 不審げに そう問い質した。
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