事例 その1

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 啓介は家に戻り妻にその話をすると 「私も一緒に行く。怪しい。不安だ。」 と言う。  次の日、指定された午後7時少し前に、中心街にある大きなオフィスビルの最上階ワンフロアを独占している『しあわせ研究所』に妻と二人で向かう。歯科医院のような清潔な印象。受付に名前を告げると30代位の白衣を着た稲垣吾郎似の男性が現れ、二坪程の白い小部屋へ通される。 「本日はご予約頂き誠にありがとうございます。初めに当研究所の概要と商品に関して説明させて頂きます。こちらへお掛け下さい。」  真っ白いテーブルを挟んで4脚の椅子が並ぶ。啓介と妻が並んで椅子に腰かける。正面に大きな壁掛けのモニター画面がある。 「初めまして。私は『しあわせ研究所』次長、青木ヒカルと申します。」 青木が差し出した名刺の裏には、2010年ハーバード大学医学部卒業 2015年オクスフォード大学医学部博士課程修了 2015年10月 財団法人しあわせ研究所バイオクリエート・リーダー等の文字が並ぶ。  
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