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1発の銃声により時が動き出した。
気付けばラッキーの手にはリボルバーが握りしめられていた。
私は動く事ができなかった。
勿論、防弾スーツを着込んでいるので弾は貫通してない。
しかし……
――い、痛い………
銃弾の反動に激痛が走った。
骨が折れて動けない。
そして気付けば、背中に仰向けになって倒れていた。
「意外だな。たった一度の銃弾に倒れるとは」
ラッキーは私に銃口を向けながら見下ろしていた。
奴はニヤニヤとほくそ笑んでいたが………
「フッ……フフフッ」
私は激痛を堪えて笑った。
突然笑う私にラッキーは首を傾げた。
そして私の身体に乗ると頬を引っ張った。
――ビリビリビリ……
マスクが剥がれ、真の姿が晒された。
それでも尚、私は笑っていた。
「エンジェルの言う通りね。あんたって本っ当に幸運がないのね」
「お前……誰だ?」
ラッキーは銃口を向けつつ、私に問い詰めた。
「エンジェルの仲間よ」
私はラッキーの不機嫌な顔を見ながら、妖艶に微笑み続けた。
「………まさか、そういう事か」
――やっと、気付いたようね。
「フフフ、そのまさか。私は囮よ」
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