第14話 悪徳医師を守れ!

10/29
前へ
/383ページ
次へ
1発の銃声により時が動き出した。 気付けばラッキーの手にはリボルバーが握りしめられていた。 私は動く事ができなかった。 勿論、防弾スーツを着込んでいるので弾は貫通してない。 しかし…… ――い、痛い……… 銃弾の反動に激痛が走った。 骨が折れて動けない。 そして気付けば、背中に仰向けになって倒れていた。 「意外だな。たった一度の銃弾に倒れるとは」 ラッキーは私に銃口を向けながら見下ろしていた。 奴はニヤニヤとほくそ笑んでいたが……… 「フッ……フフフッ」 私は激痛を堪えて笑った。 突然笑う私にラッキーは首を傾げた。 そして私の身体に乗ると頬を引っ張った。 ――ビリビリビリ…… が剥がれ、真の姿が晒された。 それでも尚、私は笑っていた。 「エンジェルの言う通りね。あんたって本っ当に幸運(ラッキー)がないのね」 「お前……誰だ?」 ラッキーは銃口を向けつつ、私に問い詰めた。 「エンジェルの仲間よ」 私はラッキーの不機嫌な顔を見ながら、妖艶に微笑み続けた。 「………まさか、そういう事か」 ――やっと、気付いたようね。 「フフフ、そのまさか。私は囮よ」
/383ページ

最初のコメントを投稿しよう!

106人が本棚に入れています
本棚に追加