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「理事長。大丈夫かしら」
私は首都高の戦いを固唾を呑んで見守っていた。
首都高に飛ばしたバタフライ・ドローンで戦いの映像を見ていた。
「私の指示通りに動いてくれたけど、どうやらバレてしまったようね」
アイパッドの液晶モニターには、変装マスクが剥がれ、エンジェルの姿をした理事長が仰向けになって倒れていた。
「それでも時は稼げた」
運転席には兄貴がいて、一緒に液晶モニターを見ていた。
「ラッキーは昔気質の殺し屋だ。標的以外は殺さないだろう。今度は俺達が頑張る番だ」
「……そうね。次は私たちの番ね」
私は覚悟を決めて頷くと、後部座席の方を向いた。
後部座席には坂代元院長が身体全体を拘束されながら座っていた。
そう……これは全て陽動作戦。
3台の装甲車も護送車も首都高にいるエンジェルも全て囮。
ウロボロスを出し抜き、謎の集団を誘き出す為の作戦だ。
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