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兄の作戦にはエンジェルがもう1人必要とされた。
その為に兄はエンジェルのスーツとイカロスを用意してくれた。
あとは変装マスクと強化グローブを装着すれば、素人でも容易く敵の兵隊を倒すことができるし、バレる事もない。
問題は誰がエンジェルに成りきるか。
兄は女性警官の1人を探してきて欲しいと頼んだ。
しかし、ここで1人の女性が前に立ち志願した。
春内理事長だ。
「その役目、私にやらせて」
突然の志願に全員、驚きを隠せなかった。
そして、すぐに兄が反対しだした。
「これは極めて危険な仕事だぞ」
「分かってる。でも私はもっとエンジェルの役に立ちたいのよ」
そう言うと理事長は私の方を向いた。
「私はいつも、あなたの戦う姿を見てきた。勝つ時もあれば、ボロボロになって帰ってくる時もあった。それなのに私はいつも無傷……裏方だから仕方ないにしろ、何もしてない感覚に襲われた」
「理事長……」
「だから私も背負いたい。あなたの苦しみを……バカな頼みとは重々承知している。だけどお願いします。その役目、私にやらせてください」
理事長は私達に向けて、頭を下げた。
しかし兄はそれでも不満を顕にしていた。
「襲撃には雑魚以上に強い刺客が必ず現れる。それをあなたは対処できるか?」
兄の問いかけに理事長は少し黙った。
そして力強く頷くと、燃えるような目で言った。
「覚悟の上よ」
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