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ヘリコプターが視界から消えると、桐生先生から無線が入った。
「すまない。逃がしてしまった」
「いいや。奴の言う通り、深追いは無用だ。ご苦労さま。急ぎ理事長を病院へ連れてってやってくれ」
「了解した」
桐生先生はそう言うと無線を切った。
その後、囮の装甲車達が無事に羽田空港に到着したと連絡が入った。
羽田空港に待ち構えてる恐れもあったが、それらしき集団はいなかったという。
「理事長が深手を負ったが心配いらない。すぐに一帯を封鎖させて倒れてるウロボロスの雑魚共を逮捕してくれ」
兄は運転しながら、生田刑事に的確に指示を出した。
「さて、これで確信したな。ウロボロスと島林は別の勢力だ」
兄はそう結論付けると、運転を続けた。
そして車は朱花フェリー埠頭へと辿り着いた。
フェリーはあと一時間で出発する。
その間にもフェリーに乗ろうとする車の数で渋滞となっていた。
兄は最後尾につくと、バックミラー越しに目をやった。
私もすぐにサイドミラーから後ろを確認した。
後ろには異様な雰囲気を放つ妙な姿をした人間が立っていた。
生田刑事の言ってた通りだ。
鹿のドクロをあしらった仮面をつけたタキシード姿の人物がそこにいた。
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