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私達は車から降りた。
そして後ろへと回り、そいつの前に立つと、しばらくの間、動かずに奴を観察した。
改めて近くで見ると、本当に異様な風体のした人物だ。
背格好からして男性なのは間違いない。
スラリとした身体に背は私より少し高め。
タキシードが非常に良く似合う身体をしていた。
ただやはり、鹿のドクロが目に映ってしまう。
頭がすっぽりと入る大きさで、天高くそびえ立つ程の立派な角を生えていた。
その雄鹿の髑髏に鳥肌が立ちっぱなしだった。
一体、奴は何者なのか……
兄の言う通り、島林なのか………
奴も私達を観察しているのか動く気配がなかった。
冷たい潮風だけが音を立てて吹き荒れた。
すると、先に動いたのはスタッグスカルの方だった。
奴はフワッと姿を消してしまった。
「来るぞ。気を引き締めてかかれ」
兄はそう言うと少し後退した。
私は身につけてたマスクを暗視ゴーグルに設定して奴の襲撃に備えた。
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