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身体が痛い程痺れた。
健康ランドにある電気風呂とはレベルが違っていた。
警棒が私から離れた瞬間、動く力は最早、皆無に等しかった。
――バタン……
そして身体は自然と地についた。
幸いにも意識の方はあった。
恐らく兄の防弾スーツのお陰であろう。
しかしそれでも動く事ができない。
痺れて立ち上がることすらままならない有様だ。
スタッグスカルは私の方を見ていた。
ドクロのお面で素顔は見えないが、余裕をかましてるのだけは分かった。
奴は私に背を見せ、意気揚々と坂代のいる車へと近付いた。
悔しさが募る中、私は必死になって考えた。
だが肝心の身体が動けないとあっては、これ以上、戦うのは無理だ。
だけど…………
私は最後の力を振り絞って、翼を広げた。
そしてスタッグスカルに気付かれないように飛んだ。
勝負は一度っきり……
私は猛スピードをつけて、スタッグスカルに突進した。
「えっ?」
スタッグスカルは後ろの異変に気付き振り返った。
だがその時にはもう遅かった。
――お返しよっ!
イカロスの翼はスタッグスカルのお面に直撃した。
――パリーンッ!!
鹿のお面はバラバラに砕け散り、奴は瞬く間に仰向けになって倒れた。
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