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私はそのまま地面にスライドするように倒れた。
身体は地面にすり減ったが痛みは感じなかった。
スタンガンの影響で身体が麻痺してしまってる為だろう。
「しっかりしろっ!」
兄が私に近づき、声をかけるのが聞こえた。
「だ、大丈夫よ。そ、それよりも鹿は」
私は兄にスタッグスカルはどうしたのか尋ねた。
だが兄が答える前に、すぐに察知した。
「ぎゃあああああああああっ!!うぎゃぁぁぁぁああああッ!!!」
イカロスの翼が奴の顔面をモロに食らったからだろうか。
スタッグスカルはおびただしい程の悲鳴をあげて顔を両手で覆い隠しながら、足をバタバタさせてのたうち回っていた。
「痛いっ!痛いぃィィッ!!」
奴はしばらくの間、顔面の痛みと戦っていた。
すると、漸く収まったのかゆっくりと起き上がり、顔を手で隠しつつ私の方を睨んだ。
指の指の間から奴の眼が見えた。
殺意のある鋭い眼光だった。
だが、奴は私に反撃することなく、そのままスーッと消えてしまった。
「ま、待て」
私は奴に向けて手を伸ばそうとしたが、身体は思うように動けず………
いつの間にか奴の気配は既に朱花港から消えてしまっていた。
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