104人が本棚に入れています
本棚に追加
「それでこのトンボをどうするつもりだ?」
生田刑事はトンボを見つめながら聞いてきた。
「コイツを奴らに気付かれないように改良を施す。そして主人の元へと返し、奴のコンピューターをハッキングする」
兄は自信を持ってこの作戦を提示した。
誰も反対意見を述べなかったので、この作戦は兄に任せることにした。
それからスタッグスカルの話は続いた。
私は奴と戦って分かった事を報告した。
「警棒を自在に操り、的確に私に攻撃を仕掛けようとしている。格闘技に長けてる人物よ。それから奴は男ね」
「どうしてそう言い切れるんだ?」
「翼を顔面に直撃させたのよ。その際、奴の口から出てくる叫び声から男だって確信したのよ」
「なるほどな」
生田刑事は頷くと、鞄から白い骨の破片が入った小袋を取り出した。
恐らく、奴が被ってた鹿の髑髏の断片だろう。
現場に落ちてたのを兄が全て拾い上げたのだ。
「何か手掛かりがあるかもとお兄さんは拾ってくれたと思われるが実際は何も無かった。科警研によるとこれは模造品。本物の鹿の骨では無いし、指紋も発見されなかった」
結局、スタッグスカルの正体はこの時点ではまだ分からなかった。
だがこれだけは言える。
奴は今度こそ本気で私を潰しにかかるであろう。
去り際に睨みつけたあの殺気立つ眼がそれを物語っていた。
最初のコメントを投稿しよう!