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続いて会議は首都高に現れたキツネの集団へと入った。
「あのキツネは恐らく、横浜を任されている森原のところだろう」
生田刑事は1枚の写真を取り出した。
そこにはキツネ顔をした中年男性が写っていた。
「神奈川県警の知り合いから聞いたんだがこの男、森原雅斗はウロボロスの幹部で“キツネ”と恐れられている」
――確かに悪そうな顔をしてるわね。
写真を見ながらそう思いつつも、渾名の由来を聞いた。
「名前の由来は?」
「頭がキレてそのくせ、ずる賢い」
「ずる賢い?」
「今日、キツネを取調べたのだが、全員が口裏合わせて『夜野に言われた』と供述している」
「つまり、この1件を全てマダムのせいにしようとしているの?」
理事長の問いに生田刑事は頷いた。
「仲間割れ……」
この言葉が口から漏れた。
だが生田刑事はそれを否定しなかった。
「森原の狙いはマダムと朱花のシマだ。恐らくマダムは森原に助けを求めたに違いない。それと引き換えに自分の身体を差し出した。しかし失敗しても全てマダムのせいにすれば自分に容疑がかかる事はまず無い」
マダムの絶対絶命の危機に私は少しだけ口元が和らいだ。
しかし、生田刑事のどこか浮かない表情をしていた。
私は妙にそれが気になったので、改めて気を引き締めた。
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