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「そういえば主よ、あの豚野郎のいた場所に何やら鞄のような物が落ちておる」 「なに?鞄だと!もしや!」 ダンジョン、鞄とくればやはりあれしかない。雫もかなりファンタジー物が大好きであるから顔のニヤニヤが止まらない。 「主よ、その顔は気を付けた方がよいぞ。中々の美男が台無しであるゆえ。みなおなごが引くと思うぞ」 なかなかに酷い言われように 「おぉ……」 それしか返す言葉が思い浮かばない雫なのであった。 さて、さっそく鞄を確認する。やはりあれ、マジックバックであった。以前ダンジョン用アイテムショップのガラスケースで見た事があった。この小さな肩掛け鞄でも容量が500㎏入るらしい。ほとんど、出回る事がない上にこの鞄は地上でも使えるから都会で行われている金持ち専用オークションに回されて市場に出回る事自体が珍しい商品である。 (神様ありがとー) 初めてレアドロップ品が出た事を隣にいるのが悪魔だと言う事を忘れて感謝した。 「何?神と申したか?」 「え?」 「だから神に感謝したかえ?可愛い妾がおるのに」 「えっ?あぁ……しかも悪魔なのに自分で可愛いって認識はあるんだな」 「もう神には誓わんと約束をしろ」 頬を膨らませながらいつもの口調を忘れているべリアルに 「はいはい……」 「小奴、反省しておらぬな!お主の考えておる事は分かっているんだからな」 雫は、頬を膨らませて拗ねているべリアルが可愛いと思っているのであった。 「さて、じゃあべリアル一緒に下に降りる階段を探そうか」 「嫌じゃ神に誓う奴なんかと探索なんか嫌じゃ」 「日本人の習慣だから許してくれよ」 「ならわらわの武器を買ってくれたら許すぞ」 「俺貧乏だから今日下へ探索をしっかりして稼げたら買ってあげるよ」 「約束じゃぞ」 ルンルン顔に変化したべリアルに雫は、密かに悪魔っぽくないなと思ったのは、バレなかったようだった。 この3階層に長年通い続けては、逃げ帰る毎日が続いていた雫にとってこの生活から抜け出せる事がとても嬉しかった。べリアルの強さならどこまで行けるかワクワクしながら、マジックバックをコートの下に掛けた。 「何もおらぬな」 「全くな」 さすが突然変異が出たばっかりで通常のオークは食べられ尽くしたのか1匹も見つかる事なく3階層を後にして、4階層に到着するのであった。 アクティベートを完了させてから4階層探索エリアに進んで行く。 「なあべリアルって何歳なんだ?見た目高校生くらいに見えるけど」 「おなごに年齢を聞くとは失礼な奴ぞ、高校生が何を言ってるのか分からぬが」 「それもそうか、異界から来てるんだもんな、このモンスターとかも異界から来てるのか?」 「多分そうじゃろうな、星降りで時空間に歪みが出来て合体してしまったんじゃ、このような穴は全部異界とこの世界の集合体じゃ」 「なる程だから穴のサイズと空間が合わないし、太陽みたいな物が出てて明るいんだな」 「そろそろモンスターが出そうだ気を付けて行こう」 「妾に任せておけ、瞬殺じゃ」 「また物騒な事を」 そう言いながら先に進むのであった。
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