逢魔ヶ時に逢いましょう 第一章

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そう言って起き上がろうとする私をお母さんは制止した。 「…奏くんは、まだ目を覚ましていないみたい。別の部屋で治療中よ。あなた達意識不明の重体だったんだけど、なんとか命はとりとめて…!」 そう言って泣き出す母の顔を、私はなにも言えずに見つめていた。 そして、力尽きたのか私はまた眠ってしまった。 遠くで誰かが呼んでいる。 どこか懐かしいような、愛しい声。 「…あかり」 「…うぅ…ん?」 「燈、起きて」 「…ん、かなで…?」 「そうだよ。ほら起きて、燈」 目を閉じていても辺りが明るいことがわかった。 そよそよとした風が肌を撫で、葉擦れの音が聞こえている。 ここは、病室じゃない…? 目を開けると、そこに広がっていたのは壮大に広がる青い空。 ゆっくりと流れるいろんな形の白い雲。 起き上がってみると、青々と茂る芝生が広がっていた。
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