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そう言って奏の手を取ると、私は奏に引き寄せられ立ち上がった。
そして、そのまま手を繋ぎながら私達は歩き出した。
だけど、歩けど歩けど続く草原。
建物らしきものはなにもなく、草花が風に揺られているだけだった。
すると、その時。
「燈様と奏様ですね?」
「「わっ!?」」
いきなり背後から聞き覚えのない声が聞こえた。
「だっ、誰だ?!」
「びっくりした…。さっきまで私達以外誰もいなかったのに…!」
そう。
ここには私達以外誰もいなかった。
そして、声をかけられるまで私達以外の気配も足音もなにもなかったはず。
それなのにこの人は私達の後ろに立っていた。
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