逢魔ヶ時に逢いましょう 第一章

14/74
前へ
/74ページ
次へ
真っ黒な燕尾服にシルクハットの長身のこの人は、どこか冷たい目をしていた。 「驚かせてしまい申し訳ございません。私は黄泉の国への案内人の縣(あがた)と申します」 「黄泉の国…?」 「はい。左様でございます」 「…黄泉の国へのってことは、ここはその黄泉の国ではないってことだよな?ここはどこなんだ?」 「奏様のおっしゃる通りでございます。こちらは黄泉の国の一歩手前の世界にございます」 「…なるほどな、そういうことか」 「えっ、なに?!奏わかったの?どういうことなの?」 私は訳がわからなくてあたふたしていると、奏は私の手をぎゅっと握りしめた。 「えっ、奏…?」 「…縣さん、って言ったっけ?」
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加