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願いが叶わなかったとしても、幼馴染みとしてずっとそばにいたい。
そう思っていた。
そして、今日もそう思いながら、学ランを着た背中を見つめていた。
夕日が落ちていくオレンジが夜の闇に包まれようとしているこの黄昏時に、じっと彼の背中を見つめながら後ろを歩いていた。
「おい、燈~!きいてんの?」
「えっ、なに?ごめん、聞いてなかった」
「ったく、ちゃんと聞いてろよな」
そう言って私の腕を掴むと、自分の隣に引き寄せた。
「…後ろになんかいるから聞いてないんだろ?もっと近くにいろよ」
そう言った奏の頬が赤く染まっていた。
「…顔、赤いよ?」
「…ばーか、夕日だよ。燈だって顔赤いぞ?“あか”りだけに」
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