逢魔ヶ時に逢いましょう 第一章

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「…わかったよ、うるさいなぁ~」 そう言って渋々また渡り始めた時にはもう遅かった。 乗用車がスピードを緩めることなく、むしろ加速して近づいてきていた。 その存在に気づくことなくむくれた私。 それに気づいた奏は、目を見開き、咄嗟に叫んだ。 「燈、危ないっ!」 そう言われて後ろから抱き締められた私は、その直後に感じた強い衝撃とともに突き飛ばされた。 その瞬間はまるでスローモーションのように感じた。 宙に浮いた身体。 強く抱き締められた感触。 ブレーキの音を響かせたまま突っ込んできた乗用車。 驚き、怯えた顔をした通行人。 そのすべてがゆっくりゆっくりと時を進めていく。
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