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「……」
「わかったわかった、入れよ」
仕方ない…、何だかんだ最終的には成真には恩があり頭が上がらないところがある。
靴を脱ぎ、早々に「腹減った」と言って来る。
「あのな、うちは食堂じゃないんだよ。煎餅とカップラーメンしかない」
「うん」
「じゃー、そこ座ってて。掃除したばっかでよかったわ」
「え」
「……何?」
「ど、どこを掃除したの?」
「は?飯あげないぞ?ちゃんとスペースがちゃんとあるでしょうよ」
「スペースって、座るスペースの事?」
「そうだよ」
手鍋に水を入れていると「あ」とまた投げかけてくる。今日はいつもより喋るな。
「何だよ次は」
「そのコップ」
成真は作業台の上に置かれえたコップを見ていた。
「……」
「まだ盗み聞きしてんの?」
「してないよ。水飲んでたんだよ」
「水滴ついてないけど」
「今から使おうとしてたの」
「え、いつも蛇口からそのまま飲んでたのに?てかそんなの使わなくても直接壁に耳をー」
「もうそれ以上言わないでくれ、飯やるから」
「わかった」
湯が沸き、麺を啜り始める。美味そうに食べる成真を見て「今日何も食ってないのか?」と自然に口が開く。
「うん」
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