『 三橋 成真 』

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 22時15分、 いつものように外看板をしまい、店の鍵を閉める。  アルバイトだけどシフトが社員並みに入っているので自然と大体の事は任せられている。  この平凡で単調な毎日に幸せを感じている。 「ただいま」   玄関の明かりを点けるだけで1k6畳の部屋も照らされる小さなアパート。 もちろんこの部屋には俺しか住んでいない。   けどいつからか、「行ってきます」と「ただいま」は言うようになった。 ドア横にある棚の上に、10センチくらいの小さな手作りの人形がある。俺に似たその人形は笑顔でこちらを見ていた。 “この前な、隣に住んでるキモい謎のからいきなりプレゼント貰ったらしいぜー?” 「‥‥‥‥」  その人形の首根っこを掴みゴミ箱の前へ立ちー 「‥‥‥‥」  人形の顔を見る。  「何で笑ってるんだよ‥‥」  そう言いながら元の位置に人形を戻した。
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