『 三橋 成真 』

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翌日、11時15分。  今日は15時からのシフトだけどその前に亘と作太とプレイの約束をしてある。俺は行く前に攻略本を部屋で読んでいた。 “やめろ!やめろって!行ってねぇーって!” “はぁ!?じゃあなんでこの時間なのよ!”  隣の部屋から怒鳴り声が聞こえて来る。  “ドンッドンッ”  壁に何かが当たる音も響く。  今日は喧嘩か。  ほぼ毎日声が事が聞こえてくるが、俺にとっては鳥の(さえず)りや車の走る音などの音と一緒でまったく気にならない。  昼過ぎになり、バイト先へ向かう。少し混雑した電車内で子供を抱いた母親が背を向けて目の前まで詰めて来た。  その母親の肩から子供がジーッとこちらを見ている。 「‥‥‥‥」  俺は微笑んだ。 「‥‥」    その子は笑顔になるどころか、少し睨んだ様な表情で俺を見てきた。  分かっている、微笑みを仕掛けたのはこっちだ方だ。余計な事をした俺が悪い。  やっぱり笑顔は無理だな‥‥そう思った時だった。 「おい、成真」 この人混みの中、誰かが俺の名前を呼んだ。 ‥‥気のせいだ。 「成真だろ」  再び聞こえたその声で全身に鳥肌が立った。  何人かを挟んでこちらへ呼びかけていたのはー  俺の父親だった。  最悪だ‥‥
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