『 三橋 成真 』

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「いつもこれ乗ってるのか?」  人目もはばからず話しかけてくる。 「……」 「次で降りないか?ちょっと話したいことがあるんだ」  誰でもいい、誰かこの人間を遠ざけてくれ…  周りの人間達はまるで俺とこの男の存在を消しているかのように携帯を触っている。 「なぁ、成真」  他の乗客を押しながらこちらに近づいて来るのがわかった。  鼓動が早くなる。俺は目を閉じ、時間だけが過ぎるのを待った。  数年振りに漂う家の匂い。  うっすらと目を開ける。 「いやだ……」と俺は俯きながら呟いた。 「じゃあここで話すか?」  停車のアナウンスがやけに大きく聞こえた。 「……」
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